乱痴気騒ぎから避難して駅前の喫茶店に身を寄せる旦那カップル

「ゾーン、変えません?」
俺は平身低頭で女性(とは言っても自分の妻と多田という隣人の妻の二人だけだが)に断りを入れ、多田と三軒茶屋駅前のカフェに移動することにした。
「いやはや。何となくそういった落ち着いた店先のほうが格段に落ち着きますな」
多田は満更でもなさそうな言い回しだった。既婚というのは日頃我慢している食い分、酒が入るとしんどいたぐいの人柄だろうという先入観を持っていた俺は意図的に多田を酒場やバーなどという類のフィールドからは遠ざけようとした。
「すみませんね、こちらの勝手な都合で一方チックに……。旦那も休職間の身元なもので。そうなると自ずと自分の方も酒は控えるように陥るもので」
「ああ。そういうことでしたか」
必ずやその場で取り繕ったような言い分だったが多田は妙に納得していたので俺もポリシー後そういうことにしておいた。
更に多田のいうように「落ち着いた店先」などでは必ずない。ごはんには下世話な世人チャットや芸能ゴシップに関するお話が下々の主婦層の間で盛んに交わされるような、一見するとどこにでもあるようなカフェテラスだったし、カフェでなくとも酒類集団を取り扱っていない店先ならばもうどこでも良かった。ラボマシンガン 導入